戦争の話
当社はシルバー層との付き合いも多く、私は今までに、いろいろな方に戦争の話を聞いた。
兵隊だった方、疎開していた方、満州で育った方などなど。
もう何年も前の話なので、私の記憶から抜け落ちている部分もあり、不確かなこともあると思うが、印象に残った話だけ記録にとどめておこう。
海軍のパイロットだったAさん
今はお亡くなりになったAさんは、海軍兵学校出身のパイロットだった。
Aさんとは気があって、よく一緒に呑んでいた。
呑みながらの話のほとんどは戦争の話だった。
「陸軍のやつは堅苦しくてね。海軍のやつはもう少しおおらかだったよ」
と、海軍を懐かしむAさん。
海軍の同窓会があるととても楽しそうにお話ししていた。
印象的だったのは、特攻の話。
「特攻の話が出たときは馬鹿かと思ったよ。無駄だよね。最初に選ばれたやつ、できるやつだったんだけど、たまたまその話が出ていたときに上官の目の前を通って、おまえやれと。最初から下の人がやると反感を買うから、上から行けと言うことで選ばれたんだ」
「俺が指名されたら日本は終わりだなって思っていた。まともに飛行機乗れるやつがいなくなる、ってコトだからね。」
「でも、指名されたんだよ。数日後とかだったかな(記憶不確か)。ビールもらって。これがうまいのなんのって。
そのとき、すごい嫌いな犬がいて、すごい仲悪くてさ。俺を見てキャンキャン吠えるし、俺もあいつが嫌いだった。なのに、その日は、すり寄ってきて、俺もあいつかわいいなって。」
「その後、特攻に出るレベルの戦局じゃなくなって、特攻の話がなくなって、パイロットとしてまた戦闘に出たんだけど、そしたらその犬、かわいくないのな!大嫌いなことをを思い出したよ。あのときだけだね、なんか、通じ合ったんだろうね」
「終戦の日は、イギリスのパイロットと打ち合いしていてさ。終戦って知らなかったから打ちまくるわけよ。でも打ち落とされて、河川敷に不時着して。これだけは盗まれちゃいけないと思って○○(私の記憶不明)だけ持ち出して走ったら、なんと終戦だったという。びっくりしたよ」
Aさんは本当に豪快な方で、戦争の話だけではなく、いろいろな話すべてが面白かった。
戦争を知る人がいなくなるのは、当然の話だからこそ(新しい戦争の話などしたくない)記録をすることは重要だ。
私の記憶間違えの部分もあるかもしれない。だが、そういう話もあった、という記録。