なんどでも
好きなドリカムの歌にそんな歌詞がありました。「なんどでも、なんどでも、なんどでも」
そう、多分、シニア向けサービスをしている人たちが必ずや当る壁、それが「なんどでも」
そう、哀しいかな、老齢化と共に、確実に理解力と記憶力が落ちていく。どんなにステキなダンディーな方でも、それは仕方ないのだ。記憶力なんて10代の頃と比べたら今ですら半分近く落ちている気がするのに・・・
さて、バタバタも少し落ち着いたので、初心に戻って現場に入る。
現場無くしてなんとやら、と思うタイプなので。
しかし、この1ヵ月半、現場を離れていることのほうが多く、実際に現場に入ると「あれー。ここまで「何度でも」だったかなー」と思うことが多い。
この1ヵ月半の間に色々な人にシニア層の思考や消費行動、ユーザビリティ云々の話をずーっとしていたのだが、やはり、若い子を相手にすると「そんなことってもしかして、私のギャグなんじゃないか」とたまに思ったりもしていたのですが、いやいやいやいや、現実は小説よりも奇なり。ですね。本当に初心に返って「えーーーーーーーここで引っかかっちゃうのか・・・」を堪能してます(疲れてますけど)。
まず、本当に思うのは、「前覚えたことを混乱しやすくなる」。オトナになると色々な情報が頭の中に入ってきますから、いざと言うときにどの情報を取り出せばいいのかわからなくなることって多いのです。
的確に取り出せる若いドラえもんと、パニックに陥った時に(例えば恐竜が後ろから追っかけてきた時に)よく解らないものを取り出すドラえもん、そこを思い浮かべていただくと解りやすいかと思いますが、何か困ったことが起きた時、例えば自分の思った検索結果が出なかった、電池を抜いて動かなくなった(うちは機械モノは何でもレクチャー)とき、設定をリセットしてしまった時、そんな時、どうする~じゃなくて、「大混乱!」なのです。
以前、当社の調査で「同じ業界を3社見るとシニア層は学習能力が働く(タスク達成までの時間が短くなる)」ということが解ったのですが、それは「危機回避が上手くなる」だけであり、自らが危機と感じる危機が起きた時には俄然操作ができなくなる、ということがよぉぉく解った。
見たときに記憶力に依存しないで、再生できるデザイン(それを本当にリサイクルデザインといえるのかどうかはちょっとまだ勉強不足、ごめんなさい>Aさん。)はウェブにもソフトにも重要だ。何度でも同じ質問が出ると言うことは、そこが解らないと言うことですし。一度くらいの質問で納得できればすごい感じですが。
若い人は多少物覚えが悪い人でも納得率が高い。「ああ、なるほど!」となる。もちろん、シニア層に同じ説明はしないですが、それ以上に解りやすく噛み砕いて噛み砕いて挽き割り納豆状態にしてもまったく応用が利かない。挽き割り納豆なのが悪いのかと思いワカモノと同じようにすると大混乱。仕方がない。そういうものなのである。シニアビジネスに従事しようと思うのであれば、その辺は重々承知してなくてはいけない。解ってはいても、解ってはいても・・・というのが現実でしょうが。
何度でも、質問を受けるウェブである場合、もっとシンプルに、解決できる、何かがあるのじゃないかと私は思うのですが。
ちなみに、どこの会社か名前は聞いておりませんが「おじいちゃんおばあちゃんなんてずっと同じ事を繰り返していればいいだけだから楽ですよ。適当に相槌打って」と仰ったそうな。(うちのお客様が仰っておりました。)正直、人間性を疑います。そういうものですか?私はそうは思いません。自分の人生の先輩方に、そして自分の未来に、そういうことを言って欲しくはない。「だから小さい会社のままなのでは」といわれても、それはそれで良いと思ってます。ムリに大きくするつもりはございません。ただ、人間性の部分で、優しさを共有できる企業様のお手伝いをしたいと思っていますから。