インターネットで買い物ができますか?

「どうしても特殊なソフトを見てもらいたい」とYさん(68歳)のおうちに伺う。
ずいぶん遠くから通ってくださったんだと思いながら、久しぶりに電車に揺られる。
特殊なソフト、といっても、まぁ、普通のパソコン教室では扱わないものなのです。なので、それの自動的に生成するバックアップのフォルダの場所を探すためだけに、わざわざ50分かけて伺うのです。
そして、色々ご質問を受けたあとでお茶タイム。実はお嬢さんが私の通っていた中学校の附属小に通っていたことが解り意気投合!世間って狭いー。
意気投合して和気藹々しているときに、「実は、この間、買い物しようと思ったの。インターネットで」
「だって、インターネットのほうが楽じゃない。重いものとかはめったに買わないからいいんだけど、この間は孫にねだられて。娘が「インターネットで買えばいいじゃない」っていうから、指定された京都のお店で買おうと思ったのよ」


「でも、インターネットで買うのってなんだか難しいのねー!FAX番号を控えて、電話番号も控えて、結局わからなくなって電話したのよ。この商品は在庫はありますか?って。」
「そうしたらね、こんなおばあちゃんでも買うんだって感じで答えられてね。やっぱりおばあちゃんだとFAXとかで買ったほうがいいのかしらねぇ。でも、せっかくパソコンあるんだしねぇ」
ちなみに、おばあちゃんだなんて感じではない。私の周りのシニア層は若いんだ。とにかく。
「でも、結局インターネットで買ったの。便利よね。京都のお店よ!昔だったらそんなの見つけられないのにねー。インターネットって便利よね」
ないたってわめいたって、高齢化社会は免れない。
若いときは、自分が老いた姿なんて信じられないと思うし、これだけ多くのシニア層に接している私も、老いることはわかっていても、多分、自分が実際そのときを迎えたらどうしているだろうなんて、やっぱり想像は難しい。
先日ストレッチをした。私は異常に体が柔らかかったはずなのに、気づいたら前屈が出来なくなっていた。
そういうのって、これからどんどんできなくなる。(いや、ストレッチはするようにしよう)若いころ当たり前のようだったことが、年をとるとがんばんなくちゃいけないことって増えてくる。例えば徹夜もそうだし。昔は徹夜の撤チャンなんて平気だったのが、徹夜をすると次の次の日くらい、疲れて立てなくなる。徹夜呑みもそうだ。昔は4時まで呑んで次の日仕事って当たり前だったのに、(1時待ち合わせなんてよくやっていたのに)今は絶対無理だ。(っていうか、当時私に付き合っていた30前の方たちに感謝。)
そういうもんだ。解ってて、理解できない無理が増えてくる。そういう時代だからこそ、インターネットなのだ。
高齢者は弱者ではない。ただ、少し不便が出てきたときに、簡単に使えるツールとしてインターネットが今はあるのだ。私は「みんなにやさしく!」という態度ではない。買いたい人が買えなくて、可処分所得が高い人が、使いたいのにインターネットを使えなさすぎるという現実がある。そして、そのせいで企業の人が機会損失をしていることについて、非常に悲しく思っているだけなのだ。体の無理が利かなくなった人へ、便利なインターネットであってほしい。そう、切実に思う。みんなが必要としているサービスであればあるほど!