オフィス退去備忘録~その4 忍び寄る誰か~

4月30日、とにかく仕事が終わらない。
世界が一気に変わっているので、周りの環境も変わる。

それに臨機応変に対応すべく(というよりは、ついていくために)、夕方からはほぼ毎日ずっとテレカン。

19時からの打ち合わせをしているときに、隣の返却予定の部屋のドアがガチャっと開く音がした。
しかし、オフィスには私一人。かなり怖い。「きっと幻…」などと思いながらテレカンを続けていた。

次の朝、外階段(非常階段)を上って会社に入ろうとすると、外階段のカギが閉められていた。
311の時に大家さんと「この鍵は閉めない」という約束をしたので、それ以来閉めていない。

閉めたのは誰?
もしかして、昨日の「ガチャ」は幻ではない?

昨日、返す部屋のドアが開いた音(正確にはカギが開けられた音)は幻ではない?それって不法侵入ではない?

5月1日、警察を呼ぶ。

なぜその場で警察を呼ばなかったと問われたが、「ちょっと怖かったから」と伝えると「こんなおばさんが…」みたいな顔をされたのはまあ、気にしない。
実害がないから指紋をとるとかはできないと。次回からは防犯カメラを設置して自衛してくださいと言われる。

たまたま余っていたネットワークカメラを設置し、ホームアローンのようにドアを開けると糸が垂れてくる設定をして準備万端にして帰った。

翌朝、なにも起きていなかった。鍵も開いたままだ。よかった。

不審な電話

ところが、次の日から、18時30分になると、必ず電話が鳴るようになった。電話をとると何も言わずに切られる。相手は非通知なので、ワン切りでもない。

一度だけ、電話を取らなかったことがある。33回コールが鳴って切れた。一体、だれが、何のためにしているのだろう???

動く机

不審な電話と共に、共用部分に置いてあった引き取ってもらう予定の家具が動くという事件も発生した。机の上に置いてあったものが床に移動されていたり、パーティションの位置がずれていたり。

返却予定の部屋に誰かが入っているのか?と思い、返却予定の部屋に色々仕掛けるも、そちらには入っていないみたいだ。愉快犯か?もう一度警察を呼ぶが、事件化できず。

ネットワークカメラは、ドアを閉めると無線が飛ばず、使えない子になった。また、余っていたスマホを防犯カメラ代わりにしようとしたら、朝見たらなんとスリープモードになっていた!使えない子!(主に私が)
この動く家財道具事件は、いすなどすべて持って行ってもらうまで2日に1回程度あった。怖い怖い。

5月、残るオフィスからパーティションの取り外しをお願いしていた業者さんが、引き上げる部屋も一緒にやってあげると言ってくださったのでパーティションの解体をお願いした。

不要な椅子などは既に引き取り業者さんに持って行ってもらったので、パーティションがなくなって、突然、部屋がガランとさみしくなった。

戦いが終わった。

見積もりについては、項目ごとにネチネチ値引き要求をし、
5月8日、ようやく

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111万円
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当初の金額より66万円引きで決着した。
(実際にはパーティション撤去費用があるので、相見積を出してくださった方と変わらない金額になった)

「納得しました」と不動産屋さんに伝える。
長い戦いが終わった。

「原状回復はリフォームではない」「払ったら負け」

Facebookに連載?していた「大家さんと私」の物語に、皆さんからいいねをいただき、アドバイスをいただき、本当に心強く、ここで納得することができた。ありがとうございました。

コロナ禍で戦う相手がいただけでも、無駄に不安にならなくてよかったかな、なんて、強がりを言ってみたりしてた。だが、終わらなかった。

つづく。