大人と基礎学習
当社の運営する大人向け数学教室「大人塾」には、
筋金入りの「数学苦手」な大人が通う。
先日、このような記事を見つけた。
「30%OFFがわからない・・・」
当教室に入塾するときに簡単なテストを受けていただくのだが
「30%OFF」の計算がわかっている方は半数もいない。
本当に。
つまり、これは、貧困の問題だけではない。
オトナで算数・数学ができない人はとても多い。
原因としては、
いじめに遭った方、転校が多かった方、帰国子女の方、親が女の子には勉強をさせない方針だった方
先生とウマがあわなかった方、いい先生に巡り会えなかった方、
小学校の時に長期風邪を引いた方、
いろいろな原因が、算数・数学を遠ざけている事例をたくさん見ている。
また、原因は特になく、受験で利用しなかったので数学はすっかり忘れてしまい
結局割合も何のことだったのか覚えていない、意味がわからないという方も多い。
義務教育で勉強しているはずの「割合」は、
大人になると、すっかりと忘れ去られる。
それは、便利・楽しみとしての勉強ではなく、苦痛としての勉強だったので
早く忘れてしまいたい部類なのかもしれない。
教室運営をはじめて、数学に対して苦手意識を感じている人が
とても多いことに驚いた。
貧困は問題である。
しかし、30%OFFがわからないことが、
貧困問題を測る物差しであるとすると、
義務教育を受けても、割引がわからないというのは
どう受け止めればいいのだろうか。
さらに、
子どもの時には問題として取り上げられても
大人になると「自己責任」で捨てられてしまう。
できる強い人は言う。
「基礎なんてできていて当たり前、今まで何をやってきたんだ」
強い人の前では、人はどんどん萎縮してしまう。
特に、「できない」というコンプレックスが、ますます声を小さくさせてしまう。
できないよー、やりなおしたいよー
と、もっと、気軽に発することができる社会に、
できないなら、やり直せばいいよ、(過去は責めないよ)という雰囲気に、
そして、いつだってやりたいときにやり直せる機会が増えれば、
もっと社会はやわらかくなるのではないかと、
最近つらつらと思っている。
そして、その社会問題に
当社として、どう解決方法を提案するか
こちらも、非常に悩んでいるところである。