思い込んだら
思い込んだら 試練の道を~♪
#って、私巨人ファンですが、巨人の星をリアルで見たことがありません。
#確か、10代の頃、月刊ジャイアンツを購読していたときにそんなフレーズを読んでしまい、それ以来「思い込んだら」と聞くと「試練の道を」と枕詞の様になっています。
まあ、そんなことは置いといて・・・
本日は中京大学のユーザビリティ論の授業に御邪魔させていただいたのですが、
「高齢者は新聞を広げたとき最初にどこを見ると思いますか?」という質問をしたところ、「???」「実は、死亡欄なんです・・・」(これ実話)と言ったときの動揺した学生さんたちが忘れられません。
最近、(滅多に読まないですが)雑誌を読んでいて結婚という2文字を見るたびにその投稿者が自分より年上か、年下か、そういうことを気にしだすのと同じ感覚かな、とも思います。ところで、30歳になりました。ボジョレーヌーボ解禁と共に。
さて、今日はMさん(66歳・女性)のお話。
Mさん、英国にいるお友達と「タダ電話」=すかいぷ とやらをしようと、スカイプ電話を購入。
ところが、接続の仕方がわからないので呼ばれたわけです。ご近所さんかつ元生徒さんなので呼び出されたら行かないわけにも行かず。
スカイプフォンを握り締めるMさん。「あー、モリさん、待ってたわよー。」
「この線を何処に繋げばいいのかすら解らないの。」
見るとパソコンのUSB端子が裏にある。「ああ、これは裏に差し込めばいいんですね」「でも、裏にはプリンタが刺さっているわよ」「同じ形なので大丈夫です」「とはいえ、プリンタが。」「・・・まあ、大丈夫です。」「とはいえ、プリンタがささるところに電話が入るのはおかしい」「まあまあ。コンセントみたいなものですから。」
USBはなんでもささるが、彼女たちにそれを理解させるのは至難の業である。
私はご家庭のパソコンのUSB端子に「プリンタ用」「○○用」とシールを貼っている人を何人も知っている。
まあ、そう思えば良いじゃないかと思うので敢えて言いませんが。
ドライバをインストールして、スカイプフォンの設定が終わる。
ピッという音が鳴ったら完了です、と言う説明文に、ピッの音を待つがなかなか鳴らない。
「ん?」と思ったら「ピッ」。大体何秒くらいかかるか、という目安が説明文にあるだけでも不安はかなり軽減できるのに・・・とブツクサ。
「これでつながりましたので、お友達のIDをもらってください」
「ID?」
「スカイプの電話番号のようなものです」
お友達に電話を掛けるMさん。「いまねー、ご近所のおねーさんがいらしてくださって」私はお嬢さんと言われなかったことに少し傷つく。嗚呼。三十路。
「で、IDというのを教えて!」
ところが、IDは英語である。英語と言うか、アルファベットである。TとかDとかまったく聞き取れていない。
私が変わってIDを聞き出す。そして、電話を変わる。
「ところで、あなた、電話番号は何番なのよ?」
?????
「だって、スカイプかけるのに電話番号が必要じゃない!」
「あ、あの、先ほど伺ったIDが電話番号の意味になるんです」
「いやでも、受話器には番号を押すところがついているわ。だから、あなた、電話番号を」
「いや、だから、あの。」
「えー、電話番号解らない?息子が全部設定してくれた?いいわねー。お宅の息子さんは。」
(省略)
「おねーさんが、大丈夫って言っているから電話切るわね」
ここから電話番号がいらないことの説得工作。
実際に彼女に電話をしてみる。
当然のごとくつながる。
「あらー、本当につながった!これってタダなのね!すごいわね!で、あなたの電話番号は?」
インターフェースが思い込みを誘導すると、彼らは永遠に思い込む。どんなに説得しても多分、使い慣れて「そういうものだ、番号がなくてもかけられるのだ」とカラダで納得するまで、多分、気持ち悪い感じで操作を続けているだろう。
また、スカイプフォンには謎ボタンがいくつもあり、それがさらなる彼女の混乱を引き起こす。
本日、このスカイプフォンネタを話させていただいたのだが、インターフェースがとても重要と言うことを、話しながら再認識させられた。はい。