カタログのような

昨日発表した家電サイトのユーザビリティ評価。
調査中に良く出てきた言葉は「カタログに比べて」と言う言葉だった。
よく、カタログのままウェブサイトにするのはナンセンス、と言う言葉があるが、それはカタログに対してとても失礼な話である。カタログをそのままウェブサイトにするのであれば、もっとウェブサイトは気軽な存在でなくてはいけない。なのに、どこを押せば良いのか、どこをクリックすれば良いのか、カタログとは違い考えなくちゃいけないウェブサイトはカタログの足元にも及ばない。カタログの爪の垢でも(あれば)煎じて飲ませたいほどである。
ということで、少なくとも「カタログを見る感覚でウェブサイトを見ることができる」状態が最も望ましい。
カタログを見るときに「次のページを見るためにはどうすれば良いのか」と考えることはないし、ほとんどのページには電話番号があったりするし、最後のページを見れば大体お問い合わせ先がわかる。
「そんなカタログと比べるなんてウェブサイトが可愛そうだ」という意見もありましょうが、昔、多くのウェブサイトに対し「カタログ的ではいけない」と書いてあって比較対象の可愛そうなカタログの立場を擁護したい気分なのです。
それではいったい「カタログ的」とはなんなのだろうか。そもそも「カタログ的」の定義ができていないのに「カタログ的がよい」「カタログ的は悪い」と語るのは問題なのである。


カタログ
メリット:手にとることができる、何も考えずにページをめくることができる
デメリット:動きがない、探すのが大変(検索機能が弱い)、情報が最新ではない
今までカタログのデメリットばかり語られてきた気がするが、実は「何も考えずにページをだらだらとめくることができる」のはカタログの大きなメリットであり、今回の調査でも「どこを見ればいいのか解らないホームページに比べてカタログは次のページを(安心して)見ることができる」という意見が挙げられた。
また「カタログはメリハリがしっかりしていて、必要な情報が直ぐに解るのに、ホームページではわかりにくい」とも。
しかし、1位になったパナソニックは、私の主観で見ると(ちょっと、文字が大きすぎてダサいんじゃないか?)と思うところが、「見た目で、ここをクリックすればそれについての説明があることが解るから解りやすい」という意見になってしまう
となると、シニアユーザー排除派技術者さんから「ほーら、シニアも使えるってなったらダサいって若い子は思うじゃないか」と鬼の首を取ったの如く言われてしまい、夜中に一人枕を濡らすのだが、やはり点数の低いところは若い子にとっても見づらいのであり、特に私の周りにいるパソコンが不得手な女友達たちは、難しいページは好きではない。若い層の中でも「パソコン苦手」層が意外と多い事を技術者はきちんと認識してなくちゃいけない。
#私の中学時代の友人Aは、パソコンで1日3通以上メールが来ると「この人はちょっとオタクなんじゃないか」と思うようだ。携帯メール中心に生きている場合、パソコンを一応使えるが、そんなに使いこなしていない人のほうが多い。
ということで、今回は敢えて「カタログ的な見方ができる」ことを賞賛ポイントとし、「あ、この商品いいなー、そうね、画質はどうなのよ」とカタログ的になーんにも考えずに次のページをめくれるような物がよいのである。
さらに、ウェブの特性である「最新性」「2.0的ちりも積もれば山となる死に筋発見系」「検索性」などを強化すれば最強なのである。
ところで、今回を通じて絶対に言っていないのは「カタログ的に見られるプラグインを利用したほうが良いでしょう」ということである。画面で見る「カタログソフト」と通常のカタログは大きく違う。なので、カタログ的なほうがいいですよ、と話をすると、すぐに「じゃあカタログプラグイン」となるが、現状私が「すごいなー、これ」というカタログソフトには出会っていない。
みなさま、良い週末を。