短期記憶の話
私は、短期記憶がとても弱い。
中学時代のダレソレちゃんが何クラスだったかはおぼえているのに、少し前にあったことをすぐに忘れてしまう。
その揮発性たるや。
自分がシニア層になったらどうなるだろうと、今から悩んでいる。
さて、シニア。
シニアは短期記憶がとても弱い。
「おぼえる端から忘れちゃうのよね」とおっしゃる人が多いが、まさしく、本当にその通りだ。
それは、年をとればとるほどそうなる。
それは紛れもない事実。
我が社では、生徒さんに「さっきも言いました」と言ってはいけないというルールがあり、言い出しそうなのでそれを社内に貼り付けているのだが、時折現場に出ると本当に驚く。
いくつかのステップがあると、どういうステップを経由したのかをすぐに混乱してしまうのだ。
同じやり方が二通りある時もダメ。
例えば、先程はワードで開いた、次はUSBメモリから開いた。これも混乱する。
先程はワードで開いた。どうしてこの書類はワードで開けないのか、「エクセルだからです」えっ、
となる。
とにかく、短期記憶は弱くなるので、モノゴトはシンプルかつ、おぼえやすく、エラーを起こしてもすぐに復帰できる(パニックにならない)ようにしなくてはいけない。
しかし、多くのウェブサイトはそうはいかない。
先日のとあるユーザーテストでは、40歳代の方が対象だったのだが、そのページをどういう風にしたら開けたのかが思い出せない。
いろいろ、情報を探していて、なにかやったら出てきたのだが、どうやって出したのか思い出せない。
とあるシニアの方は、昨日探して、いい情報が出てきたのだが、その情報をどうやって出したのかも思い出せない(履歴を使おう)
エラー画面がある。とあるシニアがエラーを出した。画面の上部にエラーの内容が書いてある。しかし、スクロールしていく間に何がエラーだったのか忘れてしまう。
人はそんなに長くおぼえていられない、ということだ。
それが年をとればとるほど、より覚えていられなくなる。
情報量が増えようと、便利な機械が増えようと、人は、人のままである。
だから、使いやすいシステムは、人に擦り寄らなくちゃいけない。
エラー画面も、ウェブサイトも、どんなシステムも、シンプルで、かつ、パニックを起こさせない、人の記憶力に対して、過剰に期待しちゃだめなんだ、と、現場に出ると思う。