説明する事の難しさ
Tさんが赤い顔をして教室に飛び込んできた。
「今ね、パソコンを買おうとしてビックに行ったら、ADSLに申し込むと1万円引きなんだって。で、申し込みたいんだけど、うちはすでにインターネットを引いているんだけど、そうすると回線が単線になるから、なんかがおかしくなるっていうんだけど、申し込みはできますって言うのね、となるとさ、弟の家にそれを引かせて、でも、その弟の家はふれっとってやつを使っているらしくって、そのふれっとがあるとなんか、違うんでしょ。」
突然まくし立てられた。
「つまり、回線ってなんなのよ。あの下水道みたいなののことを言うわけ?」
あまりにも突然だったので、私の頭の中が全く整理されない。
「えーと、弟さんの家はインターネットつながっていますか?」
「それが、ふれっと(多分、フレッツのことだ)に入っているんだけどインターネットはやっていないんだって。」
「ふむふむ、でも、それって回線がふれっつに申し込んでる事ですよね」
「ふれっつ?ふれっと?私ね、お店で初心者よ、って言ったのに、言っている事がわからないのよー。回線ってなんなの?どうして、私には店員さんの話がわからないの?」
多分、店員さんも心のそこから一生懸命説明したんだと思う。
でも、現状を上手に説明できない(理解していないから)状態の人に説明をするというのはとても難しい。
最終的に、弟さんのおうちでは既に利用しているものがあるから、引かずに、1万円の値引きはあきらめよう。という話で落ち着いた。
「結局どうして私は、店員さんのことを解らなかったのかな。今みたいに説明してくれればいいのに、回線だなんだって言うから、解らなくなっちゃって。とりあえず買い物やめてこっちに来ちゃった」
解っている人には「こんな言葉は解るだろう」と思っているところがある。
万人を相手にしたい場合には、少なくとも違うバックグラウンドがあるということを認識しなくちゃいけない。