もう一度やってといわれても。

「ねー、ここどうやるの。」
年末の教室はとてもとてもとてもとても忙しい。
普段だったらもうすいてもいい頃なのに(実際夕方は空く)、昼間は激ごみだ。
シニア層と言うのは、一人が質問をし始めると連鎖的に「次は私」「次は私」となりがちなので、スタッフは疲労困憊状態。
そんななか、自宅で某サイトを見ていたけど解らないというY女史。
「家で見たけど解らないのよ。先生、教えてよ」と目の前にいるスタッフを捕まえる。
「この間、ここを調べればいいって息子に言われたの」
おもむろにYahoo!を出してから、検索ボックスにGooと入れる。
「私が探しているのはGooからしかでないの」
(ウソだっ) ちょっと古いけど山田奈緒子(トリックですな。)ばりに目の前で心の中でつぶやく。
ホテルのサイトを探しているのだが、入力ミスのためでないらしい。それも、発音が少し違うとこちらもホテルの名前を聞き取るのが大変。特にホテルの名前が万が一カタカナだと完全に間違って記憶しているので入力ミスも何も、前提が間違っている場合が多い。
そして、四苦八苦して、そのサイトを探す
「ほらね、Gooからしかでないの」
(ウソだっ)
一度経験して成功したものはナカナカ忘れることが出来ない。
「で、先生、いま、どうやってこのページを出したの?家でもやりたい」
「○○ってホテルの名前を打ち込んで、出すんですよ」
「予約はどうするの」
「ここを押せば大丈夫ですよ」とちょっと見づらいボタンをクリックする。
「わかった、ちょっと家でもやってみる。」
次の日。
「先生、やっぱりできなかった」
「あー、左のボタンを押せばいいんですよ」
「なんか、良くわからないの。どこだったか解らないの。もう一度やってって言われても、全然できない」
使っている人には、彼らがどこで引っかかるのかなんて想像もつかないだろう。
例えばマウスを握る力が強すぎて該当リンクをクリックしてるつもりが違うところをクリックしているとか、集中をし始めると目の前にあるものがクリックされるものだと信じ込んでいて、全然関係ないトコロをクリックしているとか、なぜかダブルクリックする人は多くて、ダブルクリックすると2回目のクリックでやはり力を入れすぎて、全然違うところをクリックしているとか。
「もう一度やれって言われても、できない!先生がいないとできないっ!」
そのサイトを見た瞬間に、どこをクリックすればいいのか、目的はどこに行けば達成できるのか、きちんと明示して欲しい。
あるのに使えないウェブサイトって、街中で「目的地まであと少し!」という看板に見える。もうすぐ着きそうでワクワクしているのに、いつまでたっても着かない。そんな感じ。
シニア層のウェブサイト利用の特性を鑑みながら、我々は彼らでも使えるウェブサイトを提供しなくては使ってもらうことすら出来ないのである。
メリー、クリスマス。