成功体験

心が老化すると、成功体験に惑わされるなあと思う。
若いうちは、小さなことでもいいから成功体験を積んどけと言われて
大人になると、その成功体験を守るために、保守的になってしまう。
体験は、「体験」であり、
2回目に同じことをやっても成功するとは限らない。

だが、多くのシニアは、「前やった時に出来た方法でやりたい」という。
変化が大きすぎると拒否反応が出てしまうのだ。
なぜって、前の経験が通用しないから。
前の経験が通用しないと、失敗してしまうかもしれないから。
だから、以前やったやり方と同じやり方でやりたいと言う。

成功体験が強すぎると、目の前の失敗に気付かないことがよくある。
エラーアラートが出ていても、
「前はうまく行ったのだから、エラーになるはずがない」
という思い込みで、エラーアラートが「見えない」。
これは、すごい。
見えないものは存在しない。

色々な企業の方がシニア層のユーザーテストをやって
「書いてあるのに!」「エラー出てるのに!」と呻いてしまうのは
見えていないから存在していないので、
「前と同じやり方でやって出来ないのが悪い」ということになる。
(本当は、悪いということも感じない。存在がないから)

老化する過程で、沢山の成功体験を積んで来たんだと思う。
多くの人は、少し偉い人になって
間違ったことも、部下が飲み込んできたこととかもあるだろう。
いくつもの成功体験を積んだ。
「このやり方でやったらうまくいくよ」と思っている。

「前はうまくいったのに、おかしいな」
と、同じ間違いを繰り返す人がいる。
(3回同じ間違いをしているのだから、違う方法を試せばいいのに)と思う。
「前と同じやり方でうまくいかないんだよ」と、ループする。
人は、成功体験に振り回される。

できるようになった!という成功体験はとても素晴らしいと思う。
見返りがあると、一歩前に進むきっかけになるし
世の中が開けてくるし、とても楽しい。
でも、過去の成功体験ばかりを語るようになると
それって、あまり楽しくない老化だな、と思って
自分への戒めとしております。気をつけなきゃ。
#でも、この話、30歳代くらいからそんな人いるなあ、とも思う。