想像がつかないから、興味が湧かない。

人は、想像したことしか、やることができない。
想像がつかないものは、行動に起こせない。
と、最近思う。
子どもたちが、大人の姿を見て、大人とは、仕事とはこういうものだ、こういう大人になる、こういう大人にならないと考えるように(なので2世、3世となる人が多いのだと思う。親の背を見て育っている。)、大人も、想像がつかないものは思うこともできない。
「東京で暮らして大満足だから、別に他の国に行くとか興味ない」
他の国で過ごす自分は想像つかない、想像もしたことない、想像する必要もない。
想像して、見えないから興味を抱かない。アンテナをはらないから興味を持つきっかけもない。
そんなことを考えていたら、この本を紹介していただいた。

(要約)「サルにはバナナを食べたらおいしいだろうな、と想像する力があるはず。そうしたら、バナナを取りにいくために道具を工夫して使う。しかし、ドリアンを見ても、何か置いてあるな、位にしか思わない。取る気も起きない。工夫する気も起きない。仕事も同じで、仕事だから、だけでは人は動かない」
読んで、「想像がつかないから行動を起こさない」という漠然とした仮説とインターネット初心者がリンクした。
ネット初心者は自ら積極的にパソコンを利用しない。
知っているサービス(Yahoo!とか)、もしくは友だちに教えてもらったものだけ挑戦する。
あとは、有名(マスメディア、テレビで放映された等)なものしか使わない。
使える人は言う。「もっと積極的に使えばいいのに。私はパソコンがない人生なんて、インターネットがない人生なんて考えられないよ。色々なことも調べられるし、色々な人とつながるし、疑問に思ったことは何でも云々。」
初心者はその“色々”が想像できない。
遠く離れた、知らない人とお友達になれると言われても、
それが「楽しそう!」と思わない、想像できない、だから興味がわかない。
mixi,Facebookは、友だちがすでにたくさんいるから楽しそう。でも、他のサービスはよく解らないから興味がないから、使わない。
特に、シニア層は、今ある分野でどうにかできるほどの「経験」を積んでいるから、異物が生活に入らない。
インターネットはしているが、多くの人が永遠の初心者であるのはそれが故である。
ネットはしているが、「それ以上の操作」は想像がつかないから興味がわかない。興味がわかないから行動に起こせない。
「amazonで本を買っているの。色々な番号とかは既に入力してあるから、買い物かごに入れて、次へ次へと進むだけで届くのよ。」
「じゃあ、同じ要領で重いお米とかかったらどうですか?」
「えー、そんな難しいことは無理よ!」
何が違うのか解らない、だが、彼女にはお米をネットで買っている自分がイメージできていない。
ECサイトの市場は伸びている。
これから、今ネットで買っていない層が、自分が買っている姿が想像できるようになったら、市場はどんと伸びるだろう。
いつの間にか、今、ネットを使っている初心者は、当然のようにネットで商品を購入するようになるだろう。調べるようになるかどうかは解らないが。
だからこそ、サイトも、サービスも、その人が使っている自分を想像できる様に、その商品・サービスを手にしたときの自分の顔が浮かぶように、想像できるようにする必要があるんだな、もしくは、私の立場であれば、その人が使って楽しんで便利だと思うように想像力をかきたてる説明しなくちゃな、と思うのである。