「だって便利じゃない」
シニア層とSNSについて好奇心のアンテナが出てきたので、色々ヒアリング。
わたしたちの場合、ヒアリングとは慶し気張ったものではなく、マルタイ(対象者、ちょっと刑事っぽく言ってみる)がいらしたときに「そういえば、○○さん最近どうよ、」みたいな話からはじめる。
するとまあ、とにかく色々な事を話してくださる。
全体的に話が長いのは難点なのだが、そこは先生と言う立場を利用してですね、色々聞き出すことが出来るのです。
というのも、何にも関係ない人に「最近、インターネットでモノを買いましたか?」という話をすると、多くのシニア層はまず買わない言い訳から入る。それが正しい、正しくないは置いておいて、とにかく自分がどう見えるかを意識しながら話す。だから、答えが面白くない。
それなりの長い年数一緒にいる人だと「そうなのそうなの、この間やろうと思ったんだけどねー、結局さぁ、途中でわかんなくなっちゃって、あ、そうだ、今日それ聞こうと思って!」となる。ユーザーテストも一挙に出来てしまう有意義なヒアリングだ。「ここをこうやろうとしたらもう解んなくなっちゃって!」
(ああ、それ完全な言葉の取り違えだ・・・)と思いながら、一通りやっていただいて、最後に答えを提供する。その最終的に答えがもらえる安心感が、日常のネタとして積み重なっていくのである。
さて。
SNSとシニア層である。
最近Tさんはめっきりミクシィにはまっている。「SNSとミクシィってどう違うの???」という質問をしながら「いやあ全然解らないんだけど、」と言いながら、従業員の若い子に聞きながら、色々楽しんでいる。
「普段どのようにミクシィ使ってますか?」ここぞとばかりにTさんがしゃべり始める。(ああ、そういえばTさんはしゃべりだすと30分はずっとしゃべっているなぁ・・・)と思いつつ、手元にメモを用意。
「ほら、いっぱい見に行かなくていいでしょ、ミクシィって。」どうもマイミクに登録してある人の日記更新を、ブックマークから行くのではなく自分のページにログインしたらすぐに確認できるRSS的な役割が「何も考えずにできるから」よいらしい。そのほか、色々気に入っている点を伺って「なるほどなぁ」の連続。百聞は一見にしかず、である。普段「使いこなしている」わたしたちから見ると、所謂「素人さん」の使い方はなるほどなあと思う。
「ミクシィ、楽しいですか?」と聞いてみる。こんなに嬉しそうに話すのだから、楽しいに違いない。
「うーん、楽しいってより便利。」
「でもね、コミュニティとかはまだ解ってないの。いまひとつ意味が解らなくって」
便利なら使う、意味が解らなければ「頑張ってまで解ろう」というよりはわかる範囲で「便利」を楽しむ。便利を他者から刺激されて始めて他の便利に気づく。所謂一般的な「ネット好き」の人のように次々と新しいサービスを探りには行かないし、「ふつー」の「ふつー」な使い方しかしない。
だって便利じゃない、ではじめて、便利な使い方を提案して次につなげる。応用力、発展力が薄くなるシニア層ならではの展開はこうあるべきなのかもなあと、ふとふと思ったのでありました。