「使えないはず」という思い込み
年末ですねぇ。私はのんびり年末を迎えるつもりが、周りが「年内に」という言葉を持ち出し始めた先週辺りから自分の思いとはウラハラに色々引きずられている。
そんな中Sさんから電話。Sさんは女性、70歳、現在高齢者住宅での一人住まいである。
「Sさんー久し振りー♪」半年ぶりくらいの電話だったのだ
「あら、まみこさん、この間ね、怪我しちゃって行けなかったのよ」
「え?どうしたんですか?」
「転んじゃってね、骨折よぅ。いやぁね、年を取ると!!!」
Sさんは心20歳、しかし体は70歳。道端で転んで骨を折ったらしい。
最近そういう話は多い。高齢者が年を取っていることを忘れているせいだ、と私は思っているが。
「でね、とりあえず出れないのでパソコン色々設定しにきて欲しいんだけど」とSさんは言う。
他ならぬSさんの頼みだ、私は高齢者住宅へ出かけた。
ゆるい階段、ゆっくりのエレベータ、全てが高齢者仕様になっている高齢者住宅は壁に「夜中のカラオケは迷惑なのでやめましょう」などと張り紙が貼ってある。
久し振りに会ったSさんは思った以上に元気だった
「この間まで歩けなくて大変だったのよ。だからインターネットだけが楽しみでねぇ。でも、色々この機会に買ってみようと思ったんだけど、どれも難しいのよね。」とSさんが仰る。
「欲しい情報ってナカナカ手に入らないのよ」
結局私が呼ばれた主な用はPDFの説明だった。PDF5.0が入っていたために、毎回毎回「ダウンロード云々」が出てきて操作を諦めてしまう為、インターネットを極端に怖がっていたのであった。
色々買い物のサイトを教えたり、居酒屋のサイトを教えたり(笑)
Sさんは「本当は便利なのよねぇ」と仰った。
これから、どんどん使える老人が増えてくるのに、そのウェブサイトは老人仕様なのだろうか?
「今頼んでいる昼食の配達もインターネットで注文できてもいいのにね。」と仰る。
そうそう、インターネットで申し込むのは難しい。特に老人向けの物は、「まさか使えるわけが無い」という思い込みの元、信じられないがフレームを使っていたり、わけのわからないユーザビリティになっていたりする。涙が出る。使いたいと言う人の意思は全く尊重されていない。
使いたい人が使えるサイト、そういうのが求められている。当たり前の話のようだけど。
余談ですが、ここにも書いたことがありますが、私は比較的重度の高所恐怖症です。
本日うかがった高齢者団地は、6階建ての「超眺めがいい」場所。
全てはユニバーサルデザインなのか、ものすごく使いやすく出来ているのにエレベーターからは外が見えるため、私は自分が倒れそうになるのを必死で押さえる。そして、目的の高層階に着いた瞬間、余りの眺めのよさに私は腰が抜けてしまい歩けなくなってしまった。仕方が無いので電話でSさんにエレベーターホールまで迎えに来てもらい、お手手をつなぎながらヨタヨタオロオロ歩くのである。
「私、今まで支えてもらって歩いていたのに、私が若い人を支えるなんてちょっと自信持っちゃう」とSさんが笑う。
確かに高所恐怖症ってNも少ないし、見た目にはわからないので誰にも気付かれないのですが、本当に本当に高所恐怖症でも行けるステキな場所が欲しい。ちなみに「きゃぁ(はあと)怖い(><)」というレベルではなく、怖さの余りに突然「ウヒヒヒヒ」と笑い出すレベルです。障害を持つって事は、色々な面があると言う事だ。
それでは皆さま良い週末と、良いクリスマスを。