団塊世代と若さの話
「人は相対的に年をとる」
このセリフ、何度も誰にでも言っているのですが、人は相対的に年をとります。1年ずつ年をとるわけではない。
ある瞬間に年をとるのだ。私が始めて年をとったと感じたのは、甲子園球児より年が上になったときだった。
「ああ、彼らはあんなに老けているのに(ハンカチ王子は除く♪)、私はこんなに若いから、自分は永遠の17歳くらいだと思っていたのに、ああ、なんてことだ、私は彼らより年上になってしまった」
昔、60過ぎたらそれなりに「おじいちゃん」「おばあちゃん」だった。皆さんの中での60歳の意識はそういう感じだ。だから、「自分は(想像の60歳に比べて)相当若い」という評価になる。それはあくまでも相対的な「若さ」である。
ということで、「自分は若い」「いまどきのシニアは若い」という言葉に流されてはいけない。
彼らの「若さ」には思い込みが多い。
「僕は若い(誰かと比べて)」なので、その若さはあくまでも比較でしかない。その比較軸も良くわからないが。
昨日妙齢のE姉がいらして(見てたらごめんなさい。妙齢じゃなくて、熟し時、ですよね。)「同窓会に行ったらみんなおじさんばかりで、行くのがしんどいわよ。みんなジジくさくてね。男性は定年したらダメねっ」とズバリ言った。
本日、シニアビジネスに詳しい、これまたE姉よりはかなり若いけども、これまた妙齢な(ああ、ごめんなさい。どちらかというとイケイケドンドンのお年頃ですよね。)N姉と打ち合わせをしていて、「男性は定年退職をしたら一気に老け込む!!」という話をして盛り上がった。
実は、多くの人は自分は若いと思い込んでおり、自分以外は老けていると、思い込んでいる。
昔たまごクラブかひよこクラブで「あらかわいいお子さんですねー」と通りがかり、行き過ぎると「うちのこの方がかわいいに決まってるじゃないね、あなた」というCMがあったが、それと同じである。「あなた若いわねー」と口では言うが、心ではまったく思っていない。
団塊世代が若いのは、本当に若いのではなく、他人と比べて「自分は若い」と思い込んでいるだけのことが多い。実際に行動履歴や雑談のセリフを聞いていると、「あらあら、きちんと年相応」と思えることが多い。それは悪い意味ではなくて、きちんと年相応なのだ。なのに、多くの人が「団塊世代は若い」と思い込み、そうアプローチをするから失敗をする。
あ、もちろん70歳の人に比べればとても若いですし、若さという記号に執着する人は多い。(参考:広告の記号論) 彼らの自己申告の若さを真に受けてはいけない。彼らの他人評価の若さを真に受けてはいけない。(そもそも「若さ」の定義がないのに、彼らを若いと評価するのはおかしいことだ。)
ところで団塊世代は心が若いとか、ナウな世代だとか、ユーザーさんの近くにいないで数字から拾い出す方たちもいらっしゃいますが、「あれって、ぜんぜん生身の声じゃないわよね」というのでN姉と盛り上がる。どうして、生の声を拾おうとしないんでしょうね。数字遊びをする前に、是非うちに修行にいらしていただきたいものです。