ジーさんバーさんと孫、という記号

「やっぱり、おじいちゃんといえば、孫だよね」
「おじいちゃんは孫と連絡取りたいよね」
と思っている人は結構いる。特に、60歳が近づくに連れて多くなる。
ご自分の周りに孫がワンサカ生まれてきて、実は、自分も「おじいちゃんの仲間入り」であることを余り認識していない人は結構多い。
「おじいちゃん」「おばあちゃん」というのは記号性を持っており、どうも日本昔話的な意味を有している。「あるところにおじいちゃんとおばあちゃんがおっての。」
60歳は確かに孫もかわいいが、ご自分が遊びたい盛りだし、孫は目に入れても痛くないかもしれないが(いやいや、リアルには痛いと思うけど。)それでも「毎日面倒見てね」と言われるほど、盲目的ではない。
今、自分が叔母をやりながら、姉の子もたまにくるからかわいいし、お小遣いも上げたくなるし、面倒も見る。よく貢ぐ。定期的に物も送る。時折、祖母というのはこんな感じなのかも知れぬと思ってみたりもする。
比較的年が上の方とシニアビジネスの話をすると、どうしても「おじいちゃんおばあちゃん」というのが80歳くらいに見える。まあ、ご自分の両親を「おじいちゃんおばあちゃん」と呼んでいる方も多いからそう思えてしまうのだろう。まさか、時代がその人たちを「シニア」と読んでいるなどとは思いもしないのではないだろうか。
「70歳でパソコンなさってるんですか、すごいですね」と60歳が言う。
しかし、若い子から見たら「えー、60歳でパソコンしてるんですか?すっご~い」ときっと歓声があがるだろう。
50歩100歩だ。いや、60歳70歳だ。大きく違うが、大して変わらない。
世の中、「じーさん」「ばーさん」という記号に紛れて、シニアビジネスを見失っているところもあるんじゃないかと最近思う。一体、自分が狙っている市場は「どの人なのか」それを「おじいちゃん」「おばあちゃん」という肩書きなしに考えることも必要だと思う。おじいちゃん、という言葉のくくりで市場をくくるのは非常に安易だ。シニアという言葉に然り。くくるのは楽だが、他人が使ったくくりで自分の目の前もくくろうとするとひずみが発生する。
まあ、20で子ども生んで、自分の子どもも20歳で子ども生めば、40歳で立派なおばあちゃんですしね。