舐めてない!

「仕事を舐めてるとしか思えない!」と某社の配属先のメンバーが憤っていた。

最近、周りに新人に対して憤っている人が多い。
彼らが口を揃えて言うセリフは「舐められている!」

しかし、この1か月間、大量の新人研修を実施し、70名近い新人を見た私の感想は、新人は仕事を舐めていない。

まあ、もちろん舐めている人もいるのだろうが
彼らは彼らなりに必死なのだと思っている。

「舐めてる」結論は楽だから。

なぜ周りがこうも揃って「舐めてる」という結論を出すのかとふと思ったら、中堅社員は「新人が仕事を舐めてる」という結論を出せば、相手のせいになるし、最近の若い子はと責めてもいい感じの雰囲気だし、結論が早く出て楽だからだ、という仮説を持つに至った。

本当に舐めてるのかな?

わからないと言えない

今年の研修で気になったことと言えば、「できない」と言えない新人さんが多く見られたことだ。
弊社の研修は、パソコン研修と言っても個別研修を摂っており、新人さん10名いたら10名自分の進度で進めることができる。だから、できる子は飽きないし、できない子も自分のペースで進められる。(多少焦るのは否めないが)

見ていると「できない」「わからない」が言えない。だから、こちらから声をかける。
「わからなかったらどんどん声かけてくださいね」といっても、気づくと下を向いて、スマホで知らない言葉を探していたりする。その言葉は、漢字の読み方だったり、単語の意味だったりする。例えば、「集計」だったり「割合」だったり、基本的な言葉と思われるものを検索している。本人、恥ずかしいと思っているようだ。だからこそ、わからないと言えない。

言葉が通じていない

「当たり前」と思っている、例えば「集計」とかの言葉の定義がお互いに違っていたら意思の疎通はできない。以前、前年比とは、大きい方を小さい方で割ると思い込んでいた人がいたが、今ではその事例にあっても驚かなくなった。前年比の言葉の意味が分からずに、前年比を語るなかれ。「知っておいてよ」は通じない。「知っておいてほしいリスト」を渡すしか会話が成り立たない。

某社に依頼されて、新入社員のエクセルのスキルチェックをやったら、かなりひどい結果になった。
小計=売価×個数の問題を新入社員の4分の1の人ができなかった。

担当さんが「舐めてる」と憤っていたが、多分、舐めてない。本当にわかっていないだけだと思う。
計算式を教えてもらっていないからだ、と思う。
彼らはやり方を教えてもらってないのに抜き打ちみたいなテストなんてひどいと、言うかもしれない。

記憶モノですか?

今年は縁あって某大学に数学を教えに行っているのですが、先日学生に聞かれた。「この授業のテストって記憶モノですか?」

若さと記憶力で切りぬけよう!パターンを覚えればOK.
時代はそうやって、人を教育してきた。
実際、同い年も「数学は公式だ」と公言してはばからない人が周りにいる。

記憶したものは忘れる。忘れたものは、言葉にならない。言葉が通じないのに、自分が知っている言葉を振りかざしても相手には伝わらない。

なんてことを、この3日くらいで考えている。