なぜシニアはインターネットを使えないのか その3

1,2よりずいぶん間があきました、すみません。
なぜシニア層がインターネットを使えないのか、トリをつとめるのが「技」の問題です。
1)体の問題からくる技術の問題
→全角、半角の区別が良く解らないなど
2)知識不足からくる技術の問題
→チェックボックス、ラジオボタンの意味が理解出来ない、専門用語が解らない
  →ただし、「学習」可能
3)間違った知識からくる技術の問題
→警告マークが出ると「情報漏えいします」という意味だと勘違い等
  →誰かが教えてあげれば・・・。ただし、思い込みは怖い。
若者とシニア層との違いを挙げると、技術に対する許容度といいますか、学習度合が違う!ということが言えましょう。
例えば、若者の場合、一回失敗するとすぐに「間違いであったこと」を認識できますが、シニア層の場合、一度やって間違いだったとしても、その間違いが「なぜ起きたのか」を納得するのが若者に比べて遅く、また、応用力がきかないために何度でも同じ間違いを繰り返しがちです。
技術面ばかりはどうしようもないよね、と思われる事も多いかと思いますが、とりあえず
「体の問題からくる技術の問題」と「知識不足からくる技術の問題」はどうにか対処できるようにしておきましょう。
1)体の問題からくる技術の問題
よく違いが解らないからできなかった、など、技術の問題の根幹には体に起因するものが多いのが特徴です。老眼、視野が狭くなる、細かい作業が苦手になる、動体視力が落ちる、反応が落ちる、このような体の問題が学習能力を低下させ、シニア層は同じ間違いを繰り返し続けます。
全角半角の違いが解りません。彼らは大きい文字と小さい文字、という分類をします。
また、oと0の区別もつきづらくなります。
他に、マウスのホイールボタンの力加減を習得するのに時間がかかります。
「女性の手を握るように、優しくマウスを握って下さいね♪」とインストラクターが言う事があるのですが、それを言わなくてはいけないくらい最初の頃、マウスをぎゅぎゅぎゅとしっかり握ります。
そして、そのままホイールボタンに指が向かいます。むんず、とホイールを押しながら、ちょっとマウスを下に動かす。すると長い画面はあっという間に下までスクロールされます。そしてパニック。
ということは、画面をあまり長くするとそういうミスに対処できません、ということです。簡単にまとめちゃいましたけど。
そんな感じで、体の稿を見て頂くと推測できるかと思います。横スクロール、ページ内ページ(インラインフレームなど)等もわかりづらいですね。ホイールを一度覚えるとそれを使いたがる傾向があるのですが、どこのウィンドウがアクティブになっているかと言う意識が薄いのが特徴です。
その他、西暦、和暦等も解りづらいですね。
2)知識不足からくる技術の問題
知識がないために技術的な問題が起きてしまう。
ただ知らないだけなので、いずれ学習はできると思うのですが、学習能力があまり高くないために失敗体験ばかり覚えてしまい、なぜ失敗したのかを覚えていられないと言う悲しい現実があります。ある程度まではカバーできますが、すべてをカバーすることはできません。さらに、入力フォームなどで問題が起きやすいのも「知識不足」の特徴です。
できるかぎり簡単な例文を載せる、エラー画面を解り易くするなど出来る限り知識がなくても操作できる、マニュアル車ではなくオートマ車のようなウェブサイトが必要になります。
昔から言われているのはプルダウンメニューはNG、と言う項目ですが、団塊世代や65歳くらいまでの方は多分、あまり問題なくなると思います。そこが引っかかっている人を最近見なくなりました。
どちらかというと、チェックボックスなのか、ラジオボタンなのかは意味が解っていません。その○のかたち、□の形にまさか意味があるとは思ってもいません。
また、専門用語の定義は非常に難しいのですが、シニア層と技術者の方が同じバックグラウンドでは無い事は自明の理、解っている人にとって「当たり前」とシニア層、初心者層にとっての「当たり前」は男女ほどに違いがあると言う事を重々認識して頂きたいところです。前職で、英語の使用率が多い職場だったのですが、その頃の自分の話していた言葉はなんかおかしかったです。妙にカタカナが多い。でも、それはカタカナ語をしゃべらない人と接して、自分の日本語がカタカナばかりである事に気付かされるのです。自分が思っているほどに相手は理解していない。こうなったら推測はいけません。ウェブサイトと同じ言葉でシニア層に喋って見て下さい。何人ですか、と聞かれたら日本語をごっそり見直しましょう。
例えば環境と言う言葉ひとつとっても、「座布団です」などと答えてしまったり、バージョンは何を使ってますか?などの質問に「ウィンドウズNEC」などという新語が生まれたりもしますので、相手に伝わる言葉を心がけましょう。
エラー画面なども威圧感を与えない表現にしましょう。
とにかく「失敗体験」を植え付けない事です。
そして、3)の勝手に勘違い、に結び付けない事が重要です。ここに来るとリカバリが大変になります。本当に大変です。「だって息子が言ったんだもん」という言葉に、どれだけ業者さんが泣かされているか、その現実を見て頂きたい。嗚呼。
解る人が解らない人が階段を上って来るのを待つのではなく、自ら降りて迎えに行く、そういう気持ちを持ってユーザー視点でウェブサイトを提供して頂きたいものです。
以上、期間も文章も長くなりましたが、「シニア層がパソコンを使えない理由」について掲載致しました。途中、ブログでご紹介くださった皆様には感謝しております。これからも宜しくお願い致します。ウェブ上での行動は次のウェブサイトエキスパートに掲載されますのでそちらも併せてご覧いただけると幸いです。
また、4月は諸事情で休みましたが、5月は本屋さんサイト使いやすさランキングをまた実施致しますので、よろしくお付き合いの程をお願い致します。