直線思考

いまどきの、大学生も多いんだろうが、私の周りには少ない。
が、少し下くらいの社会人に結構多いのかも。
「で、どうやるんですか。」っていう質問する人。
私はこれを直線思考と呼んでいる。
若い子よりもシニアのほうが断然多い気がする。
(もしかしたら、友達に恵まれているだけなのかもしれないけども)
「どうやればいいのか教えてください」
「考えたけど解りませんでした。」
「どうやってやればいいのかわからないのでやり方を教えてください」
教えるほうとしては、概念からきちんと理解して応用が利くようになって欲しい。
しかし、少なくない人は、それを求めない。だから、応用が利かない。
しかし、それであきらめてはいけない。手を変え品を変え、理解を促す。シンプルに、概念を記憶してもらうよう心がける。伝わる言葉を話す。それが我々の仕事である。やりかただけを提案するなら、本を読めばわかるわけだし。
先日からアルバイトに入ったS君は某大の大学生。(うちはアルバイトに大学生がいる)
昨日、とうとう現場に出る日になり、秘伝マニュアル?で教え方を伝授する。
半信半疑に聞くS君。うちのコンセプトやら学びに対する姿勢やらを含めてとうとうと説明する私。
「いい?伝わらない言葉は、言った分二酸化炭素が増えるし、エネルギーも使うし、それはただの無駄だからね」と言い聞かせて彼は初めて現場に出た。
緊張しつつも丁寧に生徒さんに接するS君。
途中でいらしたのが、Sさん。Sさんはパソコン自体があまり好きではないし、好きでないうえに仕事で使わなくてはいけないため、すごく焦っている。だから、今得た知識をひたすら頭に流しいれて、それはまるで川の流れのようにとどまることを知らない。だから、応用が利かない。やりかたばかりを学ぶから、直線で覚えようとするから、例えば、フォントを12にするのはわかっても、14にするのはわからない。
最初、「教えること、というのは本質的に一緒だと思う。」と言っていたS君も、終わった時には「うーん、自分の言いたい事を伝えるのってすごい難しいし、普段は少しいじればできると思っていたんだけど、皆さん、いじる前に答えを聞きに来るんですね。なんか、研修で言われたことが、ようやく実感できました」
素晴らしい着眼点。
「いじる前に答えを聞いてしまう」
「直線的に物事を考える」
答えが出ない状況というのはとてもイライラするもんなんだと思う。
たとえば、恋愛をしていても(推測ですが)相手の気持ちが解るまでイライラ、相手の気持ちが解ったところで、つきあってから「○○君の気持ちが解らない」とか「何を考えているんだろう」とか、「結婚すれば、この不安から逃れられる」
ああ、なんて直線的。
確かに、物事は原因と結果で成り立っていて、結果があれば原因があるし、原因があれば、それは幾通りもの結果になる可能性がある。
しかし、結果と原因の関係、というよりも、原因→結果の流れが短すぎる。紐の先にあめがぶらさがっている。あめのぶら下がっている仕組みを理解せずに、あめと紐のことばかりとらわれるから、紐を引くたびに、あめが違うことが概念として理解できない。うーん、言葉って難しい。
物事をシンプルに考えるのは好きだが、「この原因にはこの結果」というパターンを作って、それがあまりにも短いために、応用が利かない。
「もっとシンプルに考えようよ」と、私はよく言う。
しかし、そのシンプルは、たとえば、日本酒のシンプルなきれいな味に似ていて、さまざまなプロセスを通った後のシンプルさに似ている。
今のシンプルは「はい、米用意してー。いろいろやってこのタンクに入れてー。酵母投入~。ハイ酒出来た~」そんな感じ。シンプルな振りを見せて応用が利かない。すべてをパターン化して、パターンは経験とともに増えるばかり、そしてパターン同士の連携はない。
答えがほしい症候群。
こうなったらどうするの。
「少しいじる」S君の常識はここでは一切通用しない。「これができたら次も出来ると思わないんですね。シニアの人は。」
計算ドリルは直線的思考だ。計算ドリルは脳を活性化させるのにはいいけども、プロセスを考えるには、自分で道を開発するにはやや足りない。(ただ、計算ドリルが必要な人もたくさんいる)
どうして、「考えよう」としないんだろうと多くのシニア層を見て思う。
人は学ぶことが楽しい、と、私は思っているのに、本当は楽しくないのだろうか。
(ここでは、学ぶ=考える)
#学ぶということについて考えると堂々巡りで考えがまとまらなくなるのだけども。
直線的に考える。応用が利かない。これはたぶん、加齢に依存するところが多いと思う。
(ほんとかな?ほんとじゃないかも?)
新しいことには興味があるのに、難しいことはしたくない。
機械を買ってしたいことがあるのに、考えたくないから説明書は読まない。
説明書を読みたくないから、したいことの、答えだけ、教えて。
ウェブサイトでもそう、ソフトウェアでもそう、さまざまなものがそう。
覚える手順を減らす。最低限の記憶・学習だけでいいようにする。それが「使ってもらうコツ。」
それはビジネスを考える上でとても重要なことだけど、やっぱりなんか、辛い。
もちろん、シニアの人は言う。
「マミコさんは若いから、いいのよ。歳をとったら、そうなるわよ」
そうなるのかな、と少しへこむ。
へこんでいたら70近いYさんが私を慰めてくれた。
「あの人はね、昔自分が若かったことを忘れちゃってるんだね。確かに、忘れっぽくなるし、つらくなるけど、若くていいわね、なんていっちゃあいけないよね。」
それで少し救われた。Yさんは一生懸命考えて、自分のものにしようとしている。私はそういう人たちを筆頭に、考える、学ぶ楽しさを伝えたいなあ。
直線的に考えることはすぐに答えが出て楽。
でも、考えるプロセスって楽しいのにな。
どうやったら、その楽しさが伝えられるんだろうかな。
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計算ドリルではなく、きちんと1問に対して、その解法のプロセスを考える力をつける、というものです。
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第1回は5月上旬。昔数学でぶいぶい云わせていたのに、最近全然やってないよー。数学いいねーという方はぜひご連絡を。(ちなみに、先生は現役大学生、自分たちの好きな問題をそこで解くって感じです。目安は1問10分~30分くらい?)
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コメント欄でも構いませんし、気張らずに、ご参加いただければ幸いです。