使いやすさは教えやすさ?

当社はパソコン教室も運営しているために、パソコン教室向けにソフトウェアの売り込みがよくある。
特に、シニア向けパソコン教室と対外的にうたっているため、「うちのソフトがどれだけシニアにとって使いやすいか」という売り込みがある。
先日は、アルバムソフトの売り込みがあった。
息継ぎをせずに話す人だったので、お帰りになるまで呼吸ができずに死ぬかと思った。
さて、そんなことはさておいて。
そのアルバムソフト。
「使いやすいんです」
「直観的に操作ができるんです」
が売り文句。
「例えば、随分前のネット調査で、2.8%の人しかマイピクチャの中でフォルダわけできない、写真が混在してしまうというのが悩みだというのが出ました」
ふむふむ、なるへそ
「シニアにとって、デジカメの管理はひっじょーに難しいのですっ。」
「だいたい、マイピクチャーがいかんのです。」
(そりゃ遺憾だ。)心の中でおやじギャグを飛ばさないと心が痛む。
「ですから、我々のソフトは、その分をひっじょー!に簡単にいたしまして、マイピクチャーの概念を外せば云々」
確かに、おっしゃることはすべて正しい。
多くのシニア層は「デジカメがしたい」が、何がしたいのかよく解っていないし、フォルダがそもそも解っていないので、マイピクチャーに入るとか、よく解らない。そもそも、撮った写真をどうにかできる、という概念が薄い。だって、今まで写るんです使っていた人が、どうにかするなんてことは考えられないもの。
で、少しずつ明るくしたり、CDに取り込んだりする。
「フォットショップは(勢いが付いているのでこう聞こえる)難しすぎるのでっす。」
「世の中のパソコン教室は難しすぎることばかり教えて長く通わせるのです」
(うーん、そう思うのかあ。そんなことないんだけどなあ。みんな何か学びたいと思っていらしてくださってるのになあ。簡単ばかりがいいことじゃないのになあ)と心の中で思うが、反論する息継ぎの時間がないので、スルー。
「なので、単純明快に、とってすぐにボタン一つで保存できる仕組みを考えたのです。」
ふむふむ。
インターフェースを見せてもらう。
確かに簡単で解りやすいかもしれない。
突然、その方が悲しそうな顔をした。
「こんなに解りやすいソフトでも、シニアの方は使えないのです。なので、パソコン教室の力を貸していただきたく。」
あー、そこなんだな。
私が、なんとなく、引っかかるのってそこだ。
シニアが使えないんじゃなくて、シニア層が使えないときにだれに一番最初に頼るかって娘とか息子とか、そういう人たちなんだ。
もちろん、私たちも頼られる優しい教室を目指している。
でも、夜中とか、休みとか、ちょっと聞きたいときは息子・娘に聞きたい。
そんなときに、特別なソフトでは娘・息子が対応できない。
私がマイクロソフト製品で使いづらいなあと思うところは、たいていが「教えづらい」ところである。
解りやすいソフトでも、教える側が教えられなければ、解りづらいソフトに一転してしまうことが多い。
もしかしたら、シニア層にとっての使いやすさとは、誰かの教えやすさに通じるのかもしれない。
私たちもソフトを採用するときは、教えやすいものを採用する傾向がある。(一般に広まっているもの以外)
そういうことも考える必要があるのかなー。と、ふと思った。