疲れている人々
「もう、気を使うのがやなんだよ」
と、先日会った「おじちゃん」が言った。
「おじちゃんはさ、(と、彼は自分のことをこういう。)とある大きな会社の部長まで頑張って定年退職迎えてさ、嘱託で働いてもいいよ、と言われて働き始めたんだけどさ」
0歳企業、いや、零細企業の私としては、こういう話はとても興味深い。未知の世界だから。
「周りの競争とかねー、人間関係とかねー、やんなっちゃったよ。だから、辞めたの。独立して、小さいながらも一国一城の主になって、気を使いたくないなって。疲れちゃったんだよね」
私が会った時の彼は、なんだか伸び伸びとしていて、とても楽しそうだった。
「立場とか関係なく、こうやって話したりするの、楽しいよね」
先日乗ったタクシーのおじさんも同じことを言っていた。
「タクシーはさ、そりゃあ、色々なお客さんがいるけど、人間関係はないでしょ?基本的に車は一人だし」
某巨大企業で重役まで務めたおじいちゃんも言った。
「ゴルフはね、人間関係、気を使うでしょ?そういうのに疲れたからもう、ゴルフやめちゃった」
男性は色々大変だなーと思う。
私なぞは、植木等バリのテキトー人間なので、そういう辛さはよく解らないけど、観察対象としてはとてもとても興味深い話だ。
そんな彼らにとって、パソコンとは「仕事で使うもの」であり、楽しく使えるものではない、ということも聞いた。
パソコンは気が張ることなんだな、と思う。
だから、よく、「いまどきのシニアは仕事でパソコンを使っていたから、インターネットくらい朝飯前」と仰る方がいらっしゃいますが、一部の若者・中年が地震が起きてすぐにPCに向かって震度を調べるようにインターネットになじんでいるものではない、ということをよくよく解って欲しいのです。できるし、使えるし、使ったことがある。だけど、馴染みがない。
としまえんにいる居心地の良さと、ディズ○ーランドにいるなんとなく、落ち着かない感じと。(多くの女性は逆かも知れんが、私はとしまえんのほうが落ち着く。)そんなイメージだ。
とはいえ、じゃあ、簡単にすればいいのか、という話になる。
そうじゃない。
その先に、「ワクワク体験」があるということを感じてもらわなければ、その人の一部にはなれない。いつまでも他人のままなんだと思う。
だからこそ、サービス提供者は、疲れている人々に、刺激を与え過ぎて疲れを提供するのではなく、やんわりとマッサージのように優しく、そしてワクワク体験に導くのがシニア向けビジネスに必要なんじゃないかなーと思う。