焦れば焦るほど

Yさん(63歳、女性、インターネット歴3年)から電話がかかる。
「今、甥が遊びに来ていて卒論をやっているのよ。ところが、ボタンがなんだかおかしくなっちゃって。」
よくあるフォントキャッシュの破損ですね。
でも、相手はYさんの甥っ子。それも大学生。ならば説明は楽勝だ、と思いきや「今、甥が出ているの。甥はきっとパソコンを使いたいと思うから、甥が帰るまでに直してあげたいの。」
ああ、なんてやさしいんだ、と感激するまもなく、「あー、説明大変だろうなー」と説明をはじめる。
こういう場合、とにかく結論だけを言えばいいのだ。今回紹介するのはWindowsFAQのページ。非常に解りやすいし、私も何度も救われている。
「それでは検索画面に winfaq と入れてください」
「いれたわよ」
「検索ボタンを押してください」
「押したわよ」
「画面の中央に1.WindowsFAQというのがメガネマークと共にあると思うのですが」
「 ないわよ 」
ここからが大変だった。


焦れば焦るほど、極端に視界が狭くなる。多分、よく解らないけど、恋人といる時に恋人しか見えないのと一緒なんじゃないかとツッコミをいれたくなるほど、視界が狭い。
「何が見えますか」
「登録サイト、という文字が見える。」
「!? 画面中央に水色の背景の部分がありませんか?」
「ううん、背景は黒い。」
「??????????????????」
Yahoo!の画面を見直す。上のほうにあった!そうか、彼女はココを見ているのか。長丁場を覚悟する。
甥っ子、でてこーい!
「もう少し下を見てください」
「スクロールしたらもう一つ検索のボックスが出てきた」
(スクロールするなー!!!)と心の中で叫ぶ。それも、教室の真中で。ああ、もうネタとして古い。
「もう一度Yahoo!に戻って」
「解りました」
(中略)
「やっぱり見つからない。」とYさん。どう説明すればいいのだろう。もう少し、下であることを伝えているのに彼女は水色の「検索結果」から下に視線が動かない。
すると「あった!」と突然スポンサーサイトを読み出した!
やった!水色の線の結界を越えた!
すると話は早い。それから4つ下です。「ああ、解った。もっと大きく書いてあるかと思って。英語だったしわからなかったし。」この後WindowsFAQのサイトの説明を延々とするのだが、最後には「甥っ子さんなら大丈夫!」と投げてしまった。(すみません・・・。)
さぁ、これは実話。(いつも実話です。)
ここから、何を読み取れるでしょうか。「格好よく、やりたい」その気持ちが焦らせて、視線を狭くする。
#私のギャグがつまらないとかっていうのは無しです(笑)
あなたのサイトにそこから視線が進んでくれない「結界」は存在していませんか?
目の前にある、それが見えない。