「できる」

飛び込みで電話があった。
「ぼくさぁ、インターネットは使えてるんだよね」と仰る。声は中高年、多分、団塊世代だ。団塊世代っぽいしゃべり方がある。
この場合、男性の「使えている」は要注意である。
口調で大体解るのだ。できているか、できていないか。それは野生の勘のようなものだ。
「ボク、普段、グーグル使ってるんだよね」
「大抵のことはぐぐってるからね」
「イマドキYahoo!じゃないっしょ」
ああ、私の後ろから暗雲が立ち込める。映画みたいな、どどどーっという音と共に、向こうから黒い雲が来る。
「自分のスペースを持ちたいんだよね」「?」「誰も解ってくれないんだけど、おたくなら解ってくれると思って」
人生相談?
「だからさー、ボクはGoogleを超えたいわけ。」
どうぞ。。。
話していく内に、どうもホームページを使ってビジネスをしたい、と言うことがわかった。
ぽつぽつ、雨が降りだした。
「ボクが何人に説明しても誰も解ってくれないんだよね。」
「それにさ、ボクインターネットは全然問題なくできるんだよ。だからちょっと解らないことだけならいたいわけ。」


「検索が解らないとは、どういうところが解らないのでしょうか」
とちょっと反撃する。我ながら意地悪な質問だと思う。
もし、これを意地悪じゃなくて言ったら、よっぽど解らない人の気持ちが解っていないか天然ちゃんなのだろう。
だが、私の場合はただの意地悪である。
「だからさぁ、なんていうんだろう、基礎の部分がねぇ。でも、だいぶ解っているんだけどね」
「でも、調べられるなら基礎は十分じゃないですか」と、悪魔の尻尾が生えた私が言う。
「もう少し応用技が知りたいんだよね」
「では普段どのように検索していますか?」
「検索?そんなのふつーだよ。Googleだよ」
私の嫌いなふつーって言葉が出た。ふーっ。
「例えばどのような言葉を入れてますか」
「ボクはローマ字入力だからね!ローマ字を入れて変換してるよ」
(了)
つづき:その方、後日いらして、やはり団塊世代だということが解りました。自分の直観力がまだ衰えてなくて嬉しいです。見分け方がまだ正しい様子。
#どうも夏風邪を引いたらしいです。皆様もお体には気をつけてくださいませ。