シニア層はなぜインターネットを使えないのか?その1

若者のウェブサイト操作とシニア層のウェブサイト操作には天と地ほどの違いがあります。月とすっぽん、ダイヤとタイヤ。そのくらい、違います。
わからない言葉が出てきた場合、若者は無視するかクリックするかのどちらかになります。が、シニア層はわからない言葉をしばし見つめて、「どういう意味なのかしら」と考え出します。そして「やっぱりこのホームページは私には難しいわ」。
年をとると視野も狭くなり、若者のように全体的にウェブサイトを俯瞰することができなくなります。さらに網膜にメラニン色素がたまるため、全体が黄みがかった様子になり、色の差がはっきりしないと見えにくくなります。また、若者が捉える「落ち着いた色」は「暗い色」になります。
技術的にも「使える人」と「使えない人」には雲泥の差があります。
例えば別ウィンドウが開くという操作において、若者は「どのウィンドウがどの内容を表示しているのか」を瞬間的に判断できますが、シニア層は「どのウィンドウがどの内容なのか」をすぐに理解することができません。そのため、しょっちゅう間違ったウィンドウを閉じてしまいます。(そしてパニックを起こします。)
インターネットで操作を間違える原因としてこころ・体・技がありますが、(なんだか体育会系)
少しずつ、解説をしていきましょう。


■ こころの問題。
誰しも初めて行った場所に対して、緊張感があると思います。目的地に着いたときには長くかかった気がしたものの、帰るときには非常に近く、「あれ?」と思ったことはありませんか?ウェブサイトでも同じようなことが起きます。慣れない内はとても難しく感じます。間違ったところを押してしまうのではないか、違う情報が出てくるのではないかと常に恐怖を感じています。
1-1 「失敗したくない」
ここを押して間違ってしまったらどうしよう、と常に思っていることもウェブサイト操作をスムーズにいかせない原因となります。
若い方・できる方から見ると「そんなのクリックしてみて、間違ったら戻ればいいじゃないか」というごもっともな意見が出てきますが、それはシニア層から見ると「できるからそう言えるのよ」となります。
間違ってしまったらどうしよう、ここを押して思ったものが出なかったらどうしよう、そのような心の障壁がシニア層の快適インターネットライフの足を引っ張ります。
1-2 想像力の衰え
年をとると想像力が衰えます。このボタンをクリックしたらこういうことがおきるのではないかという想像力が若者に比べて低下します。例えば、「ウェブサイト」という言葉と「ウェブ」さらに「ホームページ」が一般的に同じものを指すということはなんとなく解ってはいても理解できないものがあります。他にもサイト内にある「トップ」や「ホーム」という言葉は違うものを指していると思い込んでいる場合もあります。
同じ視点で言葉を使うことも必要です。特に技術者は自分が解るために、相手の気持ちを汲まない傾向があります。
1-3 経験値に頼る
知っていることに固執します。ひとつのウェブサイトを見て解らない言葉があると、近くにあるわかる言葉のみ読もうとします。また、定義があいまいな言葉については以前この言葉をクリックして成功したから再度その言葉をクリックする、など「経験値」に頼り、新しい行動を起こさないということが挙げられます。
1-4 知らないことに対する抵抗
知っていることに対して固執すると言う内容と同様、知らないことに対して抵抗する傾向があります。抵抗をし続けると「インターネットは若い人のもの」と括られて、自分のサイトから逃げられてしまいますので、サイト上ではできる限りシニア層が「知らない言葉」を使わないことがよいでしょう。
1-5 集中力の衰え
老化すると集中力がだんだん衰えていきます。
次ページへ次々と進まないと先にする無より元に戻ったほうが楽なので、何も考えずに戻るボタンを押したり、そのまま×ボタンをクリックしてしまったりします。
次回は近いうちに体の問題について取り上げます。